
肺水腫を繰り返した閉塞型睡眠時無呼吸症候群の1例
矢内原 智子1) 横場 正典1) 久保田 勝1) 西井 康人1) 宮本 又吉2) 阿部 直1) 益田 典幸1) 片桐 真人1)
〒228-8555 神奈川県相模原市北里1-15-1 1)北里大学呼吸器内科 2)けいゆう病院内科
症例は70歳の呼吸循環系疾患のない非肥満男性で,睡眠中に発症した痙攣・意識消失発作で過去4回の受診歴がある.いずれも症状は数時間以内に軽快していた.夜間終夜ポリグラフ検査にて重症閉塞型睡眠時無呼吸症候群と診断され(AHI 52.4/時),n-CPAPを10 cmH2Oにて導入され,日中の極度な眠気や痙攣は消失した.しかし,CPAP圧に伴う不快感から,CPAP圧を10 cmH2Oから6 cmH2Oへ減圧した.その後,日中の眠気は増加し,睡眠中の痙攣が再発したため再入院となった.入院時胸部レントゲン写真で著明な肺水腫を認めた.以前に痙攣・意識消失発作で受診された際の胸部レントゲン写真を再確認したところ,すべてに種々の程度の肺水腫が確認された.また,この肺水腫はいずれも直ちに自然軽快していた.一方,n-CPAP 6 cmH2O施行下でも,本患者のAHIは24.7/時と高値であった.以上より,本症例はコントロール不十分なOSASが痙攣や肺水腫の原因であったと考えられた.
Received 平成18年1月11日
日呼吸会誌, 44(11): 812-816, 2006