Ortner症候群を呈した原発性肺高血圧症の1例
安井 山広1) 笠松 紀雄1) 瀬戸 武志1) 篠塚 成順1) 中村 晃2) 橋爪 一光1)
〒432-8580 浜松市富塚町328 1)県西部浜松医療センター呼吸器科 〒260-8677 千葉市中央区亥鼻1-8-1 2)千葉大学医学部自律機能生理学
Ortner症候群は,心疾患に伴って起こる左反回神経麻痺であり,その原因となる基礎疾患には僧帽弁狭窄症や心房中隔欠損,Eisenmenger複合,高血圧症,冠動脈疾患,肺塞栓症,原発性肺高血圧症(PPH)などがある.我々はOrtner症候群を呈したPPHの1例を報告する.患者は28歳女性で,労作時呼吸困難,嗄声を主訴に医療機関を受診した.精査により患者はPPHと診断され,それに伴う著明な肺動脈の拡張が左反回神経麻痺の原因と考えられた.内因性の左反回神経麻痺に遭遇した際,我々はその基礎疾患として,PPHも鑑別にあげる必要がある.
Ortner症候群 僧帽弁狭窄症 原発性肺高血圧症 左反回神経麻痺 嗄声
Received 平成18年1月13日
日呼吸会誌, 44(11): 823-827, 2006