胸腔鏡下に胸膜・肺病変を確認した胸膜サルコイドーシスの1症例
杉野 圭史1) 木村 一博1) 廣井 眞弓1) 秦 美暢2) 高木 啓吾2) 長谷川 千花子3) 渋谷 和俊3) 小橋 陽一郎4) 中田 紘一郎1)
〒143-8541 東京都大田区大森西6-11-1 1)東邦大学呼吸器内科 2)同 呼吸器外科 3)同 病院病理 4)天理よろづ相談所病院病理
症例は51歳,男性.健診の胸部X線写真で,両側肺門リンパ節腫脹を指摘され,縦隔鏡下縦隔リンパ節生検でサルコイドーシスと診断された.その後,両側上葉から中葉,舌区にかけて胸膜に接する大小の結節性病変が出現し,右葉間胸膜にも同様の病変を認めたことから,胸膜サルコイドーシスを疑い胸腔鏡検査を行った.肉眼的には周囲に毛細血管の増生を伴う1 cm大までの灰白色調の境界明瞭な結節が上葉を中心に胸膜面に多発しており,葉間胸膜や横隔膜面にも病変が散在していた.病理組織学的には,非乾酪性類上皮細胞肉芽腫に加え,珪肺結節様の硝子様変性が多発していたことより,当初は塵肺,特に慢性ベリリウム肺も鑑別に挙がった.しかし明らかな曝露歴はなく,また血液,気管支洗浄液によるベリリウムのリンパ球刺激試験も陰性であったため,胸膜サルコイドーシスと診断した.
胸膜サルコイドーシス 胸腔鏡下肺生検 胸膜病変 塵肺 慢性ベリリウム肺
Received 平成18年1月26日
日呼吸会誌, 44(11): 838-843, 2006