気管支鋳型陰影を呈した肺扁平上皮癌の1例
〒183-0042 東京都府中市武蔵台2-9-2 1)東京都多摩がん検診センター呼吸器科 2)東京都立府中病院胸部外科
症例は69歳男性.血痰を主訴に当センターを受診.胸部単純X線写真上右上肺野に索状影を認めた.胸部CTでは右B3aの中間域から末梢へ進展する鋳型陰影を呈し,境界が明瞭であることから気管支内腔を充満する病変を疑った.喀痰細胞診はclassIIIbであった.気管支鏡検査を施行し右B3aから透明痰が吸引されたが,可視範囲内の中枢気管支には明らかな閉塞・粘膜異常を認めなかった.経気管支生検により扁平上皮癌と診断し,右上葉切除術を施行した.病理組織学的に腫瘍は気管支内腔を充満する発育を示す25×20×10 mmの中分化扁平上皮癌であった.気管支内腔に粘液や炎症細胞浸潤は認められず,病変は腫瘍そのものであった.亜区域支以下の気管支に発生した扁平上皮癌において気管支鋳型陰影を呈した症例は稀である.
肺癌 扁平上皮癌 鋳型陰影 気管支鋳型陰影 Cellular impaction
Received 平成18年1月31日
日呼吸会誌, 44(11): 844-847, 2006