高用量メトトレキサートが奏効した難治性ウェゲナー肉芽腫症の1例
清水 崇1) 清水 夏恵1) 高田 俊範1) 下条 文武1) 長谷川 隆志2) 鈴木 榮一2)
〒951-8510 新潟市旭町通一番町754番地 1)新潟大学呼吸器内科学分野(第二内科) 2)新潟大学医歯学総合病院総合診療部
症例は35歳男性.右耳難聴,鼻出血を主訴に来院.胸部CTで両肺野に多発性の腫瘤状影を認め,血清PR3-ANCA 38EU,腎生検にて間質に肉芽腫をともなった巣状壊死性糸球体腎炎が認められ,全身型のWegener肉芽腫症と診断.プレドニゾロン40 mg/日+シクロホスファミド50 mg/日+ST合剤960 mg/日を開始した.顕微鏡的血尿が持続するためシクロホスファミドを100mg/日に増量し,メチルプレドニゾロン1 g/日×3日のパルス療法を計3回施行した.しかし胸部CT上陰影の改善が得られず,シクロホスファミドをメトトレキサート8 mg/週に変更後もコントロールは不充分であった.メトトレキサートを18 mg/週まで徐々に増量し,胸部陰影の改善を得た.本邦での高用量メトトレキサートが奏功した難治性ウェゲナー肉芽腫症の症例は数少なく,ここに報告する.
ウェゲナー肉芽腫症 メトトレキサート シクロホスファミド 肺疾患
Received 平成18年2月21日
日呼吸会誌, 44(11): 853-857, 2006