リウマチ性多発筋痛症寛解後非特異的間質性肺炎,自己免疫性溶血性貧血を合併した1例
〒060-8648 北海道札幌市北区北14条西5丁目 北海道大学第一内科
症例は75歳男性.1997年リウマチ性多発筋痛症と診断され,ステロイド治療にて寛解した.1999年10月胸部X線にてはじめて間質性肺炎を指摘され,無治療にて経過観察中,2003年頃より徐々に労作時呼吸困難が増悪したため,2004年6月に当科に入院した.CT所見及び肺胞洗浄検査液中のリンパ球比率の上昇から非特異的間質性肺炎と診断した.さらに高度の貧血(Hb 7.4 g/dl),網状赤血球上昇(113.4‰),直接及び間接クームス試験強陽性所見より,自己免疫性溶血性貧血の合併も確認した.進行性の貧血に対しステロイド治療を開始したところ,両疾患とも速やかに改善した.リウマチ性多発筋痛症の先行例に自己免疫性溶血性貧血と非特異的間質性肺炎を合併した報告はない.特異な臨床経過とともに3疾患の合併に関する免疫学的機序の考察を含めて報告する.
非特異的間質性肺炎 リウマチ性多発筋痛症 自己免疫性溶血性貧血 ステロイド
Received 平成18年2月27日
日呼吸会誌, 44(11): 864-868, 2006