Uracil/tegafurとDocetaxelにより手足症候群を来した肺癌の1例
〒761-0793 香川県木田郡三木町池戸1750-1 香川大学医学部内分泌代謝・血液・免疫・呼吸器内科
症例はIV期肺腺癌の30歳女性.2004年9月よりuracil/tegafur(UFT)600 mg/日を内服中であったが,胸膜浸潤による胸部痛が次第に増強してきたため,2005年12月10日,uracil/tegafurを中止し,12月12日にdocetaxel(taxotere)50 mg/m2の単剤投与を行った.投与7日目より手掌や指,足底部の皮膚に限局した発赤と疼痛が生じ,次第に増強した.10日目には疼痛のため,歩行ができなくなった.疼痛改善後,手指,足底部の皮膚剥離を生じ,回復した.後日docetaxel単剤を再投与したが,手足症候群は生じなかったため,uracil/tegafurとdocetaxelの両薬剤による手足症候群と診断した.ピリミジン代謝拮抗薬とタキサン系薬剤は手足症候群を生じる代表的抗癌剤であり,これらの薬剤は今後も肺癌治療に頻用されると思われる.両薬剤を併用する場合は,その相互作用による手足症候群に注意が必要であり,1剤ずつ連続して使用する場合でも1剤投与後に十分な休薬期間を設けることが必要であることが示唆された.
手足症候群 ウラシル/テガフール ドセタキセル 抗癌剤 肺癌
Received 平成18年9月19日
日呼吸会誌, 45(6): 474-478, 2007