間質性肺炎像を呈した肺リンパ腫様肉芽腫症の1例
石井 寛 岸 建志 串間 尚子 橋永 一彦 梅木 健二 大濱 稔 時松 一成 平松 和史 門田 淳一
〒879-5593 大分県由布市挾間町医大ヶ丘1-1 大分大学医学部感染分子病態制御講座(内科学第二)
症例は57歳,男性.10年来の咳と息切れ,およびスリガラス状陰影を主体とする間質性肺炎像と肺門リンパ節腫脹に対し,2004年10月に近医で精査を受けた.しかし診断に至らず,その後増悪傾向はなかったが,2005年7月に当院で外科的肺生検を施行した.組織学的に,筋性動脈壁と肺胞壁にリンパ球系の細胞が浸潤し,細気管支血管鞘に胚中心の形成を認めた.免疫組織学的検討ではT細胞優位のリンパ球浸潤を背景として,リンパ濾胞内にB細胞の集簇を認めた.浸潤リンパ球の明らかな核異型は認めず,病理学的に血管中心性のリンパ増殖性疾患であるリンパ腫様肉芽腫症(lymphomatoid granulomatosis, grade 1)と診断した.本例ではEBウイルス感染の関与は明らかではなかった.間質性肺炎像を呈するリンパ腫様肉芽腫症は稀であり,貴重な症例と考え報告した.
Received 平成18年10月30日
日呼吸会誌, 45(6): 483-488, 2007