A-DROPはレジオネラ肺炎症例の重症度を過小評価する可能性がある
原永 修作 比嘉 太 健山 正男 岸本 華代子 那覇 唯 玉寄 真紀 仲松 正司 赤嶺 盛和 内原 照仁 熱海 恵理子 屋良 さとみ 小出 道夫 藤田 次郎
〒903-0215 沖縄県西原町上原207番地 琉球大学大学院医学研究科感染病態制御学講座分子病態感染症学分野(第1内科)
レジオネラ肺炎症例15例をレトロスペクティブに日本呼吸器学会成人市中肺炎診療ガイドラインのA-DROP,IDSAガイドライン(1998)に従って分類し,各ガイドライン間で重症度を比較検討した.対象として肺炎球菌性肺炎も同様に比較した.A-DROPでは10例が中等症,3例が重症,2例が超重症に分類されたのに対しIDSAではクラスI,II,III,IV,Vにそれぞれ1例,1例,2例,8例,3例が分類された.A-DROPの中等症3例が死亡症例であったがIDSAではリスククラスIVが3例,Vが2例と重症度の高い群でのみ死亡例がみられていた.A-DROPによる重症度分類では肺炎球菌性肺炎は過小評価せず,レジオネラ肺炎の重症度を過小評価する可能性があることが示唆された.
Received 平成19年5月28日
日呼吸会誌, 46(5): 351-355, 2008