気胸で発症した子宮平滑筋肉腫肺転移の1例
水品 佳子1) 坂東 政司1) 細野 達也1) 大野 彰二1) 蘇原 泰則2) 弘中 貢3) 杉山 幸比古1)
〒329-0498 栃木県下野市薬師寺3311-1 1)自治医科大学呼吸器内科 2)同 呼吸器外科 3)同 病理学教室
症例は44歳,女性.38歳時に子宮腫瘤のため子宮・卵巣全摘術を受け,術後の病理組織学的検査にて子宮肉腫と診断された.術後5年に再発性の気胸を発症し,両側肺野に多発する嚢胞性病変を認め当院へ紹介となった.確定診断および気胸の治療を目的に胸腔鏡下肺部分切除術を施行した.組織学的には肺の病変は核分裂像がなく,核の多形性も認められなかったため平滑筋腫と診断したが,子宮腫瘤の組織像を再検討し,最終的に子宮平滑筋肉腫の肺転移と診断した.転移性肺腫瘍による続発性気胸は比較的稀であり,原発部位の組織型としては間葉系腫瘍が約半数を占めていると報告されている.気胸を発症し,肺内に多発する薄壁空洞や嚢胞性病変を認めた場合には転移性肺腫瘍も考慮し,詳細な既往歴の確認および組織学的な再検討を行うことが重要であると考えられた.
子宮平滑筋肉腫 転移性肺腫瘍 続発性気胸 チェック・バルブ機構 嚢胞性病変
Received 平成19年8月23日
日呼吸会誌, 46(5): 379-384, 2008