DIC, ARDSを合併した重症ツツガ虫病の1例
出雲 雄大1)2) 山口 美沙子1)2) 鬼澤 重光1)2) 木口 俊郎1) 永井 厚志2)
1)立川綜合病院呼吸器内科 〒162-8666 東京都新宿区河田町8-1 2)現 東京女子医科大学第1内科
症例は65歳男性.2003年5月22日に登山後,25日より40度台の熱と咳嗽が出現し28日当院内科受診.精査・加療目的にて内科入院し気管支炎の診断にてセフトリアキソンナトリウムの投与を受けるも改善なく,31日よりイミペネム・シラスタチンナトリウムおよびエリスロマイシンに変更されるも呼吸状態の悪化を認めたため6月3日当科に転科となった.転科時,意識混濁,血圧低下,頻呼吸であり,播種性血管内凝固症候群および急性呼吸窮迫症候群を呈していたため,人工呼吸管理およびエンドトキシン吸着療法を施行した.前胸部の皮疹よりツツガ虫病を疑い精査したところ,血清ツツガ虫抗体の上昇を認めた.その後,塩酸ミノサイクリンに変更し経過良好にて転院となった.本例のように早期に診断がつかない場合,重症化する例もある事から発疹を伴う発熱性疾患では常にツツガ虫病も念頭に置き,詳細な問診と身体所見をとることが重要であると考えられた.
ツツガ虫病 播種性血管内凝固症候群 急性呼吸窮迫症候群 エンドトキシン吸着療法
Received 平成19年9月3日
日呼吸会誌, 46(5): 385-389, 2008