多発性肺浸潤影を呈した原発性肺コクシジオイデス症の1例
小嶋 徹1) 高瀬 恵一郎1) 中屋 順哉1) 五十嵐 一誠1) 山口 航1) 海崎 泰治2) 中屋 孝清3)
〒910-0846 福井県福井市四ツ井2-8-1 1)福井県立病院呼吸器内科 2)同 臨床病理科 3)自治医科大学呼吸器内科
症例は54歳の日本人男性.2004年7月末に米国カリフォルニア州へ渡航し,サンホアキン渓谷を自動車で移動した.3週間後に感冒様症状が出現し,さらにその1週間後に撮影された胸部画像所見で両側多発性浸潤影を認めた.血液検査で好酸球増多と血清IgE,βDグルカン高値を認めた.診断目的に開胸肺生検を行い,画像所見と病理所見との対比を行った.浸潤影の部位は著明な好酸球浸潤を伴う胞隔肥厚およびポリープ様の腔内線維化巣であり,その中心部の結節部位は壊死を伴う類上皮肉芽腫であった.肉芽腫内には内生胞子を蓄えた球状体を認め,原発性肺コクシジオイデス症と診断した.好酸球増多,血清IgE,βDグルカンは病勢と相関し治療効果の一指標となった.
コクシジオイデス症 コクシジオイデスイミティス 輸入真菌症 多発性浸潤影
Received 平成19年9月10日
日呼吸会誌, 46(5): 390-394, 2008