ポリミキシンカラム療法を施行し救命し得た急性呼吸促迫症候群の1例
大眉 寿々子1) 門倉 光隆2) 澁谷 泰弘3) 北見 明彦3) 中島 宏昭3)
〒224-8503 神奈川県横浜市都筑区茅ヶ崎中央35-1 1)昭和大学横浜市北部病院救急センター 2)昭和大学病院呼吸器外科 3)昭和大学横浜市北部病院呼吸器センター
症例は54歳,女性.ゴルフ温泉旅行後,発熱,構語障害とふらつきが出現したため当院受診し,肺炎の診断で入院となった.入院時I型呼吸不全を認め,acute respiratory distress syndrome(以下ARDSと略す)をきたしていたため,抗菌薬の投与を行い,人工呼吸管理を施行し各種薬物投与を行った.しかし,呼吸不全はさらに増悪し,血圧も低下してきたため,グラム陰性桿菌感染症によるエンドトキシンショックを疑い,ポリミキシンBファイバーカラムを用いたエンドトキシン吸着療法(direct hemoperfusion using a polymyxin B immobilized fiber colum:以下PMX-DHPと略す)を施行した.その結果,酸素化能は改善傾向がみられた.しかし,グラム陰性桿菌による肺炎が再度増悪し,呼吸不全が悪化してきたため再度PMX-DHPを施行し,腹臥位換気法を含む治療を施行したところ,呼吸不全は改善した.
急性呼吸促迫症候群 ポリミキシンBファイバーカラムを用いたエンドトキシン吸着療法 低容量換気 腹臥位換気療法
Received 平成19年9月18日
日呼吸会誌, 46(5): 404-410, 2008