β2刺激薬吸入により喫煙誘発胸痛発作が消失した1例
谷口 浩和1) 神原 健太1) 今西 信悟1) 阿保 斉2) 泉 三郎1)
〒930-8550 富山県富山市西長江2-2-78 1)富山県立中央病院内科 2)同 放射線科
症例は24歳の男性で,胸骨後方の痛みと絞扼感を主訴に当科を受診した.胸痛は,誘因無く生じる時もあったが,喫煙により増悪し,発作が誘発された.胸痛発作時に当科を初診し,虚血性心疾患などが否定的であり,気管支拡張剤である塩酸プロカテロールの吸入にて胸痛が消失したため,chest pain variant asthmaを疑った.その後,禁煙とステロイドの投与にて胸痛は出現しなくなった.Chest pain variant asthmaの概念は,まだ一般に広がっていないため,本症例を報告した.今後,気管支喘息の変異型として,この疾患概念の普及が必要であると思われる.
Received 平成19年9月4日
日呼吸会誌, 46(7): 530-534, 2008