肺多発性結節影で発見され,FDG-PETが診断に有用であった右大腿原発Ewing肉腫の1例
杉野 圭史1)2) 岸 一馬1)4) 高谷 久史1) 宮本 篤1) 藤井 丈士3) 吉村 邦彦1)
〒143-8541 東京都大田区大森西6-11-1 1)国家公務員共済組合連合会虎の門病院呼吸器センター内科 2)現 東邦大学医療センター大森病院呼吸器内科 3)同 病理部 4)同 臨床腫瘍科
症例は32歳男性.健診にて胸部異常陰影を指摘され,胸部CTで両肺に多発性結節が認められた.診断目的のため胸腔鏡下肺生検を施行し,病理組織学的に小円形細胞腫瘍を確認した.全身検索のためにfluorodeoxyglucose positron emission tomography(FDG-PET)を施行したところ,右大腿部に強い集積がみられ,下肢MRIでは,同部位にT1強調画像でisointensity,T2強調画像でhigh intensityの径5 cm大の腫瘤が認められた.骨軟部腫瘍を疑い,大腿部の腫瘍生検を行った結果,肺病変と類似の組織所見に加え,免疫組織化学的染色でCD99が陽性であった.Fluorescence in situ hybridization(FISH)解析の結果,EWS遺伝子再構成が認められ,Ewing肉腫と診断した.若年者の肺多発性結節陰影を認めた場合は,骨軟部腫瘍による転移性肺腫瘍の可能性を念頭に入れるべきと考えられた.
肺多発性結節陰影 骨軟部腫瘍 Ewing肉腫 FDG-PET
Received 平成19年11月8日
日呼吸会誌, 46(7): 564-569, 2008