Pure GGOから進行肺癌への変化をCTで確認し得た1例
田宮 朗裕1)3) 中村 慎一郎2) 中澤 幸恵1)4) 相谷 雅一1) 五十嵐 敢1)
〒556-0016 大阪府大阪市浪速区元町1丁目5番7号 ナンバプラザビル3階304号室 1)NTT西日本大阪病院呼吸器内科 2)西日本がん研究機構 3)現 静岡県立静岡がんセンター呼吸器内科 4)現 独立行政法人国立病院機構刀根山病院呼吸器内科
症例は,48歳男性.喫煙歴は40本×23年.2001年11月28日右胸痛精査で胸部CT施行,偶然左S6に径11 mm大のすりガラス様陰影(GGO:ground glass opacity)を認め,胸部CTで経過観察を開始.当時,呼吸器自覚症状はなく腫瘍マーカーは異常なかった.2003年9月30日のCTでわずかにGGOの増大を認め,GGO内部にやや濃度上昇が見られた.この時点で試験開胸を勧めたが拒否.以後約3年間経過観察されていなかったが,2006年10月19日,肺炎疑いのため胸部CT施行.この時,以前指摘されていた左肺のGGOは径2 cmの充実性結節となり,肺門部へも連続進展,肺門リンパ節は腫大し一塊となり縦隔リンパ節も腫大,画像上進行肺癌と診断された.今回我々はGGO病変から進行肺癌へ発展した,経時的に画像上で追う事となってしまった症例を経験した.この1例を若干の考察を加えて報告する.
Received 平成19年11月29日
日呼吸会誌, 46(7): 570-573, 2008