プラダーウイリー症候群に合併した肥満低換気症候群の1例
松浦 圭文1) 天久 康絢1) 沼倉 忠久1) 塩見 哲也1) 堀江 孝至1) 太田 保世1) 高崎 雄司2)
〒963-8558 福島県郡山市西ノ内2-5-20 1)財団法人太田綜合病院附属太田西ノ内病院呼吸器センター内科 2)同 睡眠障害センター
プラダーウイリー症候群(PWS)は,低身長,高度肥満,筋緊張低下などを特徴とする染色体異常疾患で,過食からくる高度肥満に重症の睡眠呼吸障害を合併する.われわれはPWS合併肥満低換気症候群の1例を経験したので報告する.23歳女性.1歳からPWSと診断され小児期に成長ホルモン療法,口蓋垂口蓋咽頭形成術施行を受ける.数年前より体重増加著しく96 kg,BMI 51 kg/m2に達した.この頃から傾眠傾向,チアノーゼ,鼾,夜間覚醒,失禁などがあり意識障害来たし入院.著明な高二酸化炭素血症,低酸素血症と心拡大,胸水,心嚢液貯留を認めたため入院.1週間後の睡眠検査で,無呼吸低呼吸指数16,平均動脈血酸素飽和度74%,平均経皮二酸化炭素分圧(PtcCO2)59 Torr,特にREM睡眠期平均PtcCO2は73 Torrと著しく上昇した.非侵襲的陽圧換気を開始し著明な改善を認めたため,持続陽圧呼吸療法に切り替え,その後経過は良好である.
Received 平成20年2月4日
日呼吸会誌, 46(9): 748-752, 2008