動眼神経麻痺を呈したChurg-Strauss症候群の1例
〒483-8035 愛知県江南市高屋町大門263番地 ないとうクリニック
症例は74歳,男性で吸入ステロイド(プロピオン酸ベクロメタゾンBDP-CFC),経口ステロイド(プレドニゾロン),徐放性テオフィリン製剤,ロイコトリエン受容体拮抗剤による治療にてもコントロール不良の重症持続型喘息であった.吸入ステロイドの変更(プロピオン酸フルチカゾンFP-DPI)とクロモグリク酸吸入とβ2刺激薬吸入の追加にてコントロール良好となり,経口ステロイドを減量・中止とした.これにつれ末梢血好酸球数が著増し,次いで右手・右足のしびれ感,更には左動眼神経麻痺を認めた.それらの症状は経口ステロイド薬の再投与により改善したことから,Churg-Strauss症候群と診断した.本症において,脳神経麻痺は稀で,その内,動眼神経麻痺は過去に4例報告されたのみである.本例の臨床経過から,喘息コントロールに必要であった全身性ステロイドの減量・中止により潜在していたChurg-Strauss症候群が顕在化したと考えられた.
Churg-Strauss症候群 動眼神経麻痺 プロピオン酸フルチカゾン 好酸球増加
Received 平成20年3月24日
日呼吸会誌, 46(12): 1003-1006, 2008