ステロイド薬投与中の気管支喘息症例に発症した肺ノカルジア症の1例
板東 千昌1) 天野 雅子1) 鈴木 道明1) 青木 茂行1) 松岡 緑郎2)
〒187-8510 東京都小平市天神町2丁目450番地 1)公立昭和病院呼吸器科 2)現 松岡内科クリニック
症例は76歳男性.6歳からの小児喘息の既往があり,難治性の症例である.今回胸部X線写真上肺炎像を認め.喘息発作が遷延し,ステロイド薬を一週間以上投与しても改善なく紹介入院になった.入院後も約2週間に渡りステロイド薬投与を行ったが,胸部X線写真上両下肺野に浸潤影が出現し,CT検査では下肺野を中心に両側多発結節影を呈した.気管支鏡下に両下葉洗浄液培養からNocardia speciesが検出され,ノカルジア肺炎を合併したと診断した.ST合剤にて治療を行ったが,副作用から薬剤変更を余儀なくされ治療は難渋した.気管支喘息に合併した肺ノカルジア症の報告は少なく,診断と治療経過について報告する.
Received 平成20年5月14日
日呼吸会誌, 46(12): 1024-1028, 2008