生活環境変化に応じ病勢が変動した鳥関連慢性過敏性肺炎の1例
原 悠1) 小林 英夫1) 恐田 尚幸1) 叶 宗一郎1) 元吉 和夫1) 尾関 雄一2)
〒359-8513 埼玉県所沢市並木3-2 1)防衛医科大学校呼吸器内科 2)同 呼吸器外科
生活環境変化に応じ病勢が変動した鳥関連慢性過敏性肺炎の1例を報告する.症例は65歳の男性でびまん性スリガラス陰影を2年前より指摘され,再度の指摘を受けたため受診した.20年前にインコの飼育歴があり,15年前から羽毛布団を使用してきた.また,秋から初冬にかけ隣地の柿の木に野鳥が多数飛来していた.軽度の乾性咳嗽と画像所見,鳥飼育歴と羽毛布団使用歴から慢性過敏性肺炎を鑑別診断に挙げた.経気管支肺生検では確定診断に到らなかったが,胸腔鏡下肺生検にてairway centered fibrosisを認め,さらに,気管支肺胞洗浄液と血清中の鳥関連抗体が陽性であったため,慢性鳥関連過敏性肺炎と診断した.入院時と羽毛関連製品除去後に血清SP-A・SP-D・KL-6は一時低下したが,野鳥飛来増加時期に間質マーカーの再上昇と画像悪化を認めた.自宅の樹木と隣地の柿木の剪定とともに,ステロイド薬と免疫抑制薬を導入し病変の改善を得つつある.
鳥関連慢性過敏性肺炎 野鳥 羽毛製品 生活環境 サーファクタント蛋白-A
Received 平成20年5月20日
日呼吸会誌, 46(12): 1045-1049, 2008