無気肺の急速な進行と改善を認めた気管支内病変を有する肺悪性リンパ腫の1例
大江 美紀 河野 秀和 出口 奈穂子 神田 響 近藤 圭一 礒部 威
〒693-8501 島根県出雲市塩冶町89-1 島根大学医学部附属病院呼吸器・化学療法内科
症例は68歳,女性.2004年8月初旬に咳嗽が出現,9月に呼吸困難が出現したため,当院救急外来を受診.その際の胸部単純X線写真で右上葉の完全無気肺を認めたため,当科に入院.全肺野に喘鳴を聴取し,副腎皮質ステロイドを用いた気管支喘息治療を行った.翌日には喘鳴,胸部単純X線写真の無気肺ともに改善したが,入院第10病日に再度喘鳴が出現,胸部単純X線写真では右下葉の無気肺を認め,第22病日には右完全無気肺となった.気管支鏡検査では右上葉主気管支と中下葉を高度に狭窄する粘膜病変を認め,生検でdiffuse large B-cell lymphomaと診断した.胸腔外病変を認めず肺原発と考えた.本症例は気管支内病変を有する肺原発の悪性リンパ腫であり,また無気肺の発生部位に変動を認めた稀な症例と考えられた.
非ホジキンリンパ腫 気管支内病変 隆起性腫瘤病変 多発性粘膜下小結節病変 びまん性粘膜下浸潤病変
Received 平成20年3月5日
日呼吸会誌, 46(12): 1065-1069, 2008