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日本呼吸器学会誌 増刊号 学術講演会プログラム 抄録集 全文PDF

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受傷36年後に診断された外傷性肺嚢胞の1例

平田 世雄 

〒203-0004 東久留米市永川台2-9-14 館山病院

要旨

症例は84歳男性.農業.生来健康.昭和47年49歳時,農作業中に耕運機の誤作動で左前胸部を強打した既往がある.以後,住民検診の胸部X線では胸水貯留と診断されていた.受傷12年後の昭和59年,胸水貯留の精査のため著者の元の勤務先を受診,試験穿刺液に明らかな所見を認めなかったために経過観察となった.受傷34年後の平成16年および受傷36年後の平成18年胸部異常陰影の精査目的で再度受診した.平成18年の受診時には,胸部CT撮影を行い,胸部腫瘤陰影は,壁厚1~2 cmで一部石灰化した7×4 cm大の嚢胞であり,既往の胸部外傷歴を考慮して外傷性肺嚢胞と診断した.外傷性嚢胞は通常1年以内に消失することが多いとされるが,36年間の長期にわたり存在したのは,経過中に肺嚢胞に炎症が生じたことによる可能性が考えられた.また,外傷性肺嚢胞の診断における胸部CTの有用性が改めて示唆された症例であった.

キーワード

外傷性肺嚢胞  鈍的胸部外傷  胸部CT  肺挫傷  肺実質の断裂 

Received 平成20年5月1日

日呼吸会誌, 46(12): 1070-1074, 2008

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