家庭用加湿器が原因と推定され,重症呼吸不全を呈して死亡したレジオネラ肺炎の1例
〒950-0891 新潟県新潟市東区上木戸5-2-1 新潟医療生活協同組合木戸病院
症例は60歳男性,糖尿病および重喫煙歴あり.発熱,咳,呼吸苦を自覚して近医を受診した.低酸素血症,胸部X線の両側異常影が認められたため当院を紹介され入院した.尿中レジオネラ抗原検査で陽性と判明,レジオネラ肺炎による急性呼吸速迫症候群(ARDS)と診断した.抗菌薬治療,好中球エラスターゼ阻害薬,人工呼吸器管理などの治療を実施したが急性腎不全,ショックを併発して第6病日に死亡した.感染源検索の結果,患者吸引痰及び患者宅の家庭用加湿器から分離培養で共にLegionella pneumophila SG1(血清型1群)が同定され,パルスフィールド・ゲル電気泳動法で同一遺伝子パターンを示した.家庭用加湿器が原因として疑われるという貴重な事例であったので報告する.
レジオネラ肺炎 急性呼吸速迫症候群 家庭用加湿器 パルスフィールド・ゲル電気泳動法
Received 平成20年8月18日
日呼吸会誌, 47(5): 388-392, 2009