脾臓転移を来たした肺癌の1例
安藤 克利 金子 教宏 伊 麗娜 佐藤 智恵子 安井 大策 井上 恵一 三沢 昌史 大国 義弘
〒296-8602 千葉県鴨川市東町929番地 亀田総合病院呼吸器内科
症例は71歳男性.2005年8月に左上葉原発の肺扁平上皮癌,臨床病期T2N2M0 stage IIIAと診断され化学療法と放射線治療を開始された.2006年6月に胸腹部CT検査で脾臓転移を認め,PDと診断された.その後も化学療法を継続したが腫瘍は増大し,同年12月24日に死亡した.固形癌の脾臓転移は比較的少数であり,中でも肺癌はまれである.肺癌の脾臓転移を来たした報告症例は我々が検索した限り,自験例を含め13例のみであった.これまでの報告によると肺癌の脾臓転移は高率に脾臓破裂を来たし,予後不良となることが判明した.このため外科的に脾臓摘出を施行することで予後を改善する可能性が示唆された.今回我々は肺癌の経過中に脾臓転移を来たした1例を経験したので文献的考察を含めて報告する.
Received 平成20年10月1日
日呼吸会誌, 47(7): 581-584, 2009