従来から使用されてきた肺活量および1秒量予測式と日本人予測式との比較検討
青木 美江1) 長内 忍1) 小笠 壽之1) 山崎 典美2) 石田 健介1) 中田 寛章1) 中尾 祥子1) 豊嶋 恵理1) 長谷部 直幸1) 大崎 能伸3)
〒078-8510 旭川市緑ヶ丘東2条1丁目1-1 1)旭川医科大学内科学講座循環呼吸神経病態内科学分野 2)旭川医科大学病院臨床検査部 3)旭川医科大学病院呼吸器センター
本邦では肺活量(VC)と1秒量(FEV1)の予測式はBaldwin式(VC-B式)とBerglund式(FEV1-B式)が用いられてきたが,2001年に日本人のデータから求めたVC予測式(VC-J式)とFEV1予測式(FEV1-J式)が発表され,各施設で予測式が転換されつつある.本研究では各予測式の特性を明らかにするとともに,身体障害者障害程度(呼吸器機能障害)の認定に用いられる指数(1秒量/予測肺活量×100)を両式で計算して判定し,等級一致群と不一致群の予後を比較した.対象は過去6年間に当院で肺機能検査を受けた20歳以上の全症例である.拘束性障害症例はVC-B式よりもVC-J式では症例数がほぼ倍増した.指数が4級以上に該当する症例はVC-B式での判定に比べVC-J式では約20%増加した.両式による判定で等級が一致する群と不一致の群で予後を比較したところ,3級および4級に相当する症例で有意な差はなかった.
肺活量 1秒量 予測式 予後 身体障害者障害程度(呼吸器機能障害)
Received 平成21年8月20日
日呼吸会誌, 48(5): 357-363, 2010