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書誌情報

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症例

肺淡明細胞腺癌の1剖検例

石田　正之1）2）  中間　貴弘1）  島崎　貴治2）  田中　健之2）  土橋　佳子2）  森本　浩之輔2） 

1）医療法人近森会近森病院呼吸器科 〒852-8501　長崎県長崎市坂本1-7-1 2）長崎大学病院感染症内科（熱研内科）

要旨

症例は72歳女性．主訴は咳嗽，血痰．喫煙者であり慢性気管支炎の症状があったが，2006年12月から喀痰量，咳嗽が増加し，更に血痰も出現したため2007年1月当院を受診し，画像所見から閉塞性肺炎の診断で入院した．胸部CTでは左肺門部に縦隔，肺門リンパ節と一塊になった腫瘤影と胸水を認め，血液検査ではCEAが62.6 ng/mlと上昇していた．喀痰細胞診で肺腺癌と診断され，精査の結果転移を認めStage　IVと診断し，carboplatin・paclitaxelによる化学療法を開始した．しかし治療抵抗性であり，その後，気道ステント留置，胸腔ドレナージ，胸膜癒着等を行ったが全身状態は急速に悪化し，同年6月永眠された．ご遺族の承諾をいただき，病理解剖を施行し，組織検査で腫瘍組織の90％以上が淡明細胞癌像を示した．淡明細胞癌はWHO分類および本邦の肺癌取扱い規約で扁平上皮癌，腺癌，大細胞癌のそれぞれの特殊型に分類され，Katzensteinらの報告では，348例の肺癌中，腫瘍組織の50％以上を淡明細胞が占める例は15例で，うち腺癌由来は4例と報告されており，本例はきわめて稀な症例と考えられる．

キーワード

非小細胞性肺癌  淡明細胞腺癌  剖検 

Received 平成21年6月17日

日呼吸会誌, 48(5): 364-369, 2010

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