播種型Mycobacterium avium症に非ホジキンリンパ腫を合併した1例
澤本 良子1) 日高 大1) 肥山 淳一郎1) 藤井 亜希子2) 三角 幸広2) 宮川 洋介2) 冨満 信二3) 林 明宏3) 小野 研4) 有馬 文統5) 入江 康司6) 大楠 清文7)
〒830-8577 福岡県久留米市天神町120 1)医療法人天神会新古賀病院呼吸器内科 2)医療法人天神会古賀病院21呼吸器内科 3)医療法人天神会新古賀病院呼吸器外科 4)医療法人天神会新古賀病院放射線科 5)医療法人天神会古賀病院21血液内科 6)医療法人天神会新古賀病院病理診断科 7)岐阜大学大学院医学系研究科病原体制御学分野
症例は76歳男性.呼吸苦を主訴に受診し,胸部CTにて,縦隔リンパ節の腫大による気道狭窄を指摘された.PETでは,縦隔リンパ節および腰椎・左腸骨に,集積の亢進を認めた.当初,左腸骨および縦隔リンパ節の気道内進展病変の生検にて,悪性細胞は認められず,それぞれの病変から抗酸菌が証明された.遺伝子検査にてMycobacterium aviumと同定されたため,播種型Mycobacterium avium症と診断し,抗菌治療を開始した.しかし,効果がなく,気道狭窄が進行した.そのため,新たに出現した病変である鎖骨上窩リンパ節の生検および気道内病変・左腸骨病変の再生検を行ったところ,非ホジキンリンパ腫(diffuse large B cell type)との診断に至り,播種型Mycobacterium avium症との併発と考えられた.本症例では,両疾患の併発だけでなく,複数の病変において両疾患の共存が示唆され,二疾患の関連性が非常に興味深いと考えられたため,考察を加え報告する.
播種型Mycobacterium avium症 非ホジキンリンパ腫 気道狭窄 縦隔リンパ節腫大 ホーミング
Received 平成21年9月15日
日呼吸会誌, 48(5): 397-403, 2010