シクロスポリンによる副作用のため,タクロリムスによる代替療法が奏効した皮膚筋炎合併間質性肺炎の1例
塗 香子 小谷 卓矢 武内 徹 庄田 武司 槇野 茂樹 花房 俊昭
〒569-8686 大阪府高槻市大学町2-7 大阪医科大学第1内科(膠原病内科)
症例は67歳女性.顔面,両手指に紅斑が出現.当院皮膚科を受診し,皮膚筋炎(Dermatomyositis:DM)が疑われ,当科に入院.ヘリオトロープ疹,ゴットロン徴候,軽度の筋力低下を認めた.CKは376 U/lと軽度上昇し,抗核抗体以外の自己抗体は全て陰性.胸部CTにて間質性肺炎(Interstitial pneumonia:IP)を認め,DM-IPと診断した.入院後,IPが急速に進行したため,Prednisolone 40 mg/日とCyclosporin-A(Cy-A)150 mg/日による治療を開始し,著明な改善を得た.しかし,肝障害のためCy-Aを継続できず,Cy-AからTacrolimus(Tac)に徐々に移行したところ,IPおよび肝障害はともに改善した.副作用のためCy-Aが投与できないDM-IPに対して,Cy-AからTacへの変更が有用であると考えられた.
タクロリムス シクロスポリンA 皮膚筋炎 間質性肺炎 副作用
Received 平成21年10月14日
日呼吸会誌, 48(6): 444-448, 2010