重症呼吸不全患者に対するHighFO®ネブライザーの有用性の検討
高松 和史 櫻本 稔 井上 大生 石床 学 糸谷 涼 鈴木 進子 松本 正孝 竹村 昌也 福井 基成
〒534-8480 大阪市北区扇町2-4-20 財団法人田附興風会医学研究所北野病院呼吸器センター
HighFO®ネブライザーは40%から98%まで設定した濃度の酸素を投与できる新しいネブライザー付酸素吸入器である.従来,高濃度の酸素吸入が必要な重症呼吸不全患者に対しては,リザーバ付酸素マスクやネブライザー付酸素吸入器を使用してきた.しかし,これらの酸素療法では,重症呼吸不全患者の実際の吸気流速に見合うだけの酸素供給流速を確保できず,吸入酸素濃度を十分高くできないことが指摘されている.今回,重症呼吸不全患者10名を対象にHighFO®ネブライザーの有効性を検討した.その結果,リザーバ付酸素マスクからHighFO®ネブライザーに変更することで,血中酸素飽和度の有意な改善を認めた(平均±SD(%):83.7±8.5%→94.2±3.2%,p=0.007).すなわち,HighFO®ネブライザーは高濃度酸素を投与するための有効なデバイスであると考えられた.
HighFO®ネブライザー 酸素療法 呼吸不全 リザーバ付酸素マスク ネブライザー付酸素吸入器
Received 平成22年4月20日
日呼吸会誌, 49(4): 243-248, 2011