職業運転手における睡眠呼吸障害の頻度と,予測因子の検討―特定健診の結果をもとに
〒933-0115 富山県高岡市伏木古府元町8-5 1)社会保険高岡病院内科 2)富山大学第一内科
睡眠呼吸障害は脳血管障害や虚血性心疾患の原因となることが知られている.また夜間の睡眠障害による日中の眠気が産業事故の原因となるとされ,潜在する患者の早期発見が急務である.今回我々は,40歳以上の職業運転手81名を対象に携帯型モニター装置を用いてスクリーニング検査を施行し,睡眠呼吸障害の頻度を調査した.また同年の特定健診のデータをもとにその予測因子を検討した.Apnea hypopnea index(AHI)が15以上のものが28.3%に認められた.またロジステイック回帰分析では糖代謝異常(オッズ比6.745),20歳から10 kg以上の体重増加(オッズ比5.374),加齢(オッズ比1.136)が独立した予測因子であった.特定健診を利用することで,睡眠呼吸障害の高度危険群を抽出できる可能性が示唆された.これは睡眠呼吸障害の早期発見,産業事故防止のために重要な知見だと思われる.
Received 平成22年8月23日
日呼吸会誌, 49(4): 249-254, 2011