成人における新型インフルエンザ肺炎と季節性インフルエンザ肺炎の比較検討
石黒 卓 高柳 昇 米田 紘一郎 林 誠 鮫島 つぐみ 宮原 庸介 徳永 大道 青木 史暁 柳澤 勉 杉田 裕
〒360-0965 埼玉県熊谷市板井1696 埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
パンデミックインフルエンザ(H1N1)2009肺炎(新型)の臨床的特徴を明らかにするため,季節性インフルエンザ肺炎(季節性)126例(1996年1月~2009年3月)と診断の確定した新型インフルエンザ肺炎10例(2009年11月~2010年3月)の臨床像,画像所見,重症度,治療,予後を比較した.平均発症年齢は新型52.4歳,季節性64.6歳と新型インフルエンザ肺炎で有意に発症年齢が若く基礎疾患は季節性の方が多かった.発症から入院までの中央値はともに4日であった.病型は原発性インフルエンザ肺炎が新型70%,季節性31%であり新型の方が原発性インフルエンザ肺炎の頻度が高かった.一方,重症例は季節性の方が多かった.新型では季節性より白血球数とリンパ球数が低く,胸部CT検査では両側性に陰影を呈する症例とすりガラス状陰影のみを呈する症例が多かった.治療内容は新型および季節性で有意差を認めず,解熱に要するまでの期間や死亡率にも有意差を認めなかった.
新型インフルエンザ肺炎 パンデミック 季節性インフルエンザ肺炎 インフルエンザ 成人
Received 平成22年9月2日
日呼吸会誌, 49(4): 255-265, 2011