両側胸水を伴い高用量ステロイド投与を必要としたサルコイドーシスの1例
鈴木 淳 富澤 由雄 吉井 明弘 土屋 卓磨 鶴巻 寛朗 飯島 浩宣 斎藤 龍生
〒377-8511 群馬県渋川市金井2854 独立行政法人国立病院機構西群馬病院呼吸器科
25歳,男性.発熱,呼吸困難,咳嗽,胸背部痛を主訴に受診.胸部X線,CTにて両側肺野に多発小粒状影,両側胸水を認め入院となった.多数の表在リンパ節腫脹を認め,右鼠径部リンパ節生検を行ったところ,ラングハンス型多核巨細胞を多数伴う非乾酪性類上皮細胞肉芽腫で占められていた.気管支鏡検査にて粘膜の不整,毛細血管拡張と多発小結節を認め,気管支肺胞洗浄液はリンパ球の増加とCD4/CD8比の上昇を認めた.血清ACE,リゾチームの上昇も認めたことよりサルコイドーシスと診断した.プレドニゾロン(Prednisolone;PSL)30 mg/日内服にて症状,胸水は改善傾向であったが,投与開始約4週間後,胸水増量,発熱,胸痛,咳嗽,呼吸苦の再出現,KL-6,ACE値が再上昇したため,60 mg/日へと増量した.症状,検査所見,胸水,リンパ節腫大ともに改善し,4週間投与後漸減し,10カ月後中止としているが再増悪を認めていない.
Received 平成22年9月3日
日呼吸会誌, 49(4): 287-292, 2011