結節性多発動脈炎に合併したと考えられた間質性肺炎の1例
石井 寛1) 河端 美則2) 岡 宏亮1) 小宮 幸作1) 岩田 敦子1) 門田 淳一1)
〒879-5593 大分県由布市挾間町医大ヶ丘1-1 1)大分大学医学部総合内科学第二講座 2)埼玉県立循環器・呼吸器病センター病理
症例は71歳,男性.乾性咳嗽,発熱が2週間以上持続するため,近医を受診した.血液検査にて著明な炎症反応がみられ,胸部CTにて間質性肺炎像を認めたため,当科に紹介入院となった.入院時体温は38.0℃,胸部聴診でfine cracklesを聴取し,四肢や躯幹に軽度のリベド皮疹を認めた.検査所見では炎症反応のほか,リウマチ因子が陽性であったが,抗好中球細胞質抗体を含め他の自己抗体は陰性であった.気管支肺胞洗浄液ではCD4+リンパ球数が増加していた.皮膚生検組織で血管炎の所見があり,外科的肺生検組織では,通常型間質性肺炎パターンに加え,多数のリンパ濾胞と肺動脈での肉芽腫性・壊死性血管炎がみられた.臨床および病理学的に結節性多発動脈炎が疑われたが,同症では間質性肺炎の合併は稀で,通常血管炎は気管支動脈であり,本症例は顕微鏡的多発動脈炎との鑑別を要する示唆に富む症例と考えられた.
結節性多発動脈炎 肉芽腫性血管炎 顕微鏡的多発動脈炎 間質性肺炎
Received 平成22年9月17日
日呼吸会誌, 49(4): 298-303, 2011