黄色ブドウ球菌による肺炎と鑑別を要した肺限局型Wegener肉芽腫症の1例
宇賀神 基1) 三輪 清一1) 須田 隆文2) 白井 正浩1) 早川 啓史1) 千田 金吾2)
〒434-8511 静岡県浜松市浜北区於呂4201-2 1)独立行政法人国立病院機構天竜病院呼吸器科 2)浜松医科大学第2内科
症例は56歳女性.1992年に全身性エリテマトーデス,2004年にシェーグレン症候群と診断され,プレドニゾロン5 mg/日を内服中であった.2008年6月,肺炎治療後に咳嗽が持続し,右中肺野の浸潤影が残存したため,当院受診.PR3-ANCAの上昇に加えて,気管支内視鏡検査にて巨細胞を伴う肉芽腫性炎症を認めたが,症状,陰影ともに自然軽快した.同年9月,発熱と左上肺野に浸潤影の出現を認めたため受診.喀痰検査所見よりメチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)による肺炎と考え,抗菌薬治療を行うも,改善に乏しく,病理所見とPR3-ANCAの上昇より肺限局型Wegener肉芽腫症と診断した.ST合剤に加えて,ステロイド薬の増量とシクロホスファミドの追加にて,軽快し,PR3-ANCAも陰性化した.MRSA肺炎との鑑別を要し,全身性エリテマトーデスとシェーグレン症候群に続発した肺限局型Wegener肉芽腫症を経験したため報告する.
黄色ブドウ球菌 肺限局型ウェゲナー肉芽腫症 全身性エリテマトーデス シェーグレン症候群
Received 平成22年10月12日
日呼吸会誌, 49(4): 309-314, 2011