子宮内膜転移をきたした肺腺癌の1例
日比 慎一郎1)2) 宮崎 健二1) 石田 安代1) 角田 幸雄3) 森川 哲行1)
1)横浜労災病院呼吸器内科 〒130-8655 東京都文京区本郷7-3-1 2)東京大学医学部附属病院老年病科 3)横浜労災病院病理診断科
症例は50歳女性.2006年10月に胸痛が出現,次第に股関節痛,腰痛も認めるようになったため同年12月精査目的で当院入院となった.脊椎,骨盤などに骨融解像,左下葉に腫瘤陰影を認め,経気管支肺生検にて肺腺癌と診断した.また,不正性器出血も認めたため婦人科を受診,子宮内膜組織診より腺癌を認めた.原発巣,子宮内膜ともに組織像は類似していると共に,Carcinoembryonic antigen(CEA)染色,Thyroid Transcription Factor-1(TTF-1)染色陽性であったため肺癌子宮内膜転移と診断した.肺癌の子宮内膜転移は非常にまれであるが,女性肺癌患者で婦人科症状を認めるような場合,鑑別に考慮する必要があると考えられた.
Received 平成22年7月22日
日呼吸会誌, 49(7): 501-505, 2011