脳膿瘍を合併した肝肺症候群が併存した間質性肺炎の1例
〒805-8508 北九州市八幡東区春の町1-1-1 新日鐵八幡記念病院呼吸器科
症例は76歳女性.25年前から慢性C型肝炎による肝硬変で加療中であった.71歳時に慢性間質性肺炎を指摘され,間質性肺炎の精査中に肝肺症候群を合併していることが判明した.低酸素血症に対し,在宅酸素療法を行っていた.2009年7月に37度台の発熱,頭痛,嘔吐が出現し,頭部MRI検査より左小脳半球に脳膿瘍を疑う所見を得た.定位穿頭排膿術を施行し,Streptococcus intermediusによる脳膿瘍と診断した.術後は抗生剤投与により症状は消失し,治療は終了した.肝肺症候群に合併した脳膿瘍の報告は稀であるが,病態から両者の因果関係は十分推論され,肝肺症候群の合併症として,脳膿瘍を認識しておくことは重要と思われた.
肝肺症候群 肝硬変 脳膿瘍 コントラスト心エコー Streptococcus intermedius
Received 平成22年12月10日
日呼吸会誌, 49(7): 534-537, 2011