若年発症型および成人発症型の再発性呼吸器乳頭腫症の2例
塩原 康正1) 後藤 秀人1) 星野 昌子1) 塚原 利典3) 山口 展弘1) 伊藤 優1) 野澤 昭典2) 築地 淳3) 石ヶ坪 良明3) 金子 猛1)
〒232-0024 横浜市南区浦舟町4-57 1)横浜市立大学附属市民総合医療センター呼吸器病センター 2)同 病理部 3)横浜市立大学大学院医学研究科病態免疫制御内科学
若年発症型と成人発症型の再発性呼吸器乳頭腫症の2例を経験した.若年発症型の症例は30歳女性.3歳で喉頭乳頭腫症を発症,4歳で気管切開施行.16歳から一時受診を自己中断していたが,30歳で血痰が出現し再受診.胸部X線にて肺野病変あり,気管支鏡検査にて扁平上皮癌と診断された.抗癌化学療法を施行するも32歳で永眠.成人発症型の症例は43歳女性.発熱と咳嗽で発症し,呼吸機能検査で高度の閉塞性障害,胸部CTにて両主気管支径の狭小化と肺門リンパ節腫大が認められた.気管支鏡にて,気管・気管支に広範に水疱様の多発隆起性病変が認められ,乳頭腫症の病理診断を得た.経過観察中に病変は自然消退した.本疾患は,稀な疾患ではあるが,再発を繰り返す難治例が多く,より有効性の高い新規治療法の確立が急務である.
再発性呼吸器乳頭腫症 ヒトパピローマウイルス コイロサイトーシス 扁平上皮癌 肺癌
Received 平成23年1月11日
日呼吸会誌, 49(9): 667-673, 2011