先行肺病変を呈し経過中心筋炎を発症した多発性筋炎の1例
濱田 美奈子1)2) 是枝 快房1) 中塩屋 二郎1) 川畠 寿史1) 富山 由美子1) 川畑 政治1) 相澤 久道2)
〒899-5293 鹿児島県姶良市加治木町木田1882 1)独立行政法人国立病院機構南九州病院呼吸器科 2)久留米大学医学部内科学講座呼吸器・神経・膠原病内科
症例は33歳男性,2008年6月から咳嗽,労作時の呼吸困難感が出現し12月に当科を初診.胸部CT上両側中~下肺野を中心に間質性陰影を認めた.2009年1月に胸腔鏡下肺生検を行った.胸膜直下の顕微鏡的蜂窩肺を伴う高度の線維化と肺内層部の小円形細胞浸潤を伴う線維性の肺胞壁肥厚を認めFibrotic NSIP(nonspecific interstitial pneumonia)の所見であった.確定診断には至らなかったが慢性過敏性肺臓炎,膠原病先行肺病変を考え経口ステロイドを開始した.2週間後に近位筋の筋肉痛,筋力低下が出現し,その後急激に呼吸状態の悪化を認めた.BNPが著明に上昇し心エコー検査では心嚢液貯留とびまん性心収縮障害を呈していることから心筋炎による心不全と考えられた.CK上昇,近位筋の筋肉痛,筋力低下,筋生検,筋電図の所見などから多発性筋炎と診断した.間質性肺炎は多発性筋炎の先行肺病変と考えられ心筋炎も本症に伴うものであったと考える.
Received 平成23年1月28日
日呼吸会誌, 49(9): 674-680, 2011