自己末梢血幹細胞移植併用大量化学療法後10年で再発した肺小細胞癌
谷口 暁彦1) 瀧川 奈義夫1)2) 堀田 勝幸1) 松村 正3) 谷本 光音1) 木浦 勝行1)
〒700-8505 岡山市北区中山下2-1-80 1)岡山大学病院呼吸器・アレルギー内科 2)川崎医科大学附属川崎病院総合内科学4 3)姫路聖マリア病院内科
57歳の男性が左下葉原発の限局型肺小細胞癌と診断され,シスプラチンとエトポシド併用化学療法と同時胸部放射線加速多分割照射療法により完全奏効が得られた.さらに自己末梢血幹細胞移植併用大量化学療法(イフォスファミド,カルボプラチン,エトポシド)が施行された.10年後のポジトロン励起断層写真にて左肺下葉にフルオロデオキシグルコースの異常集積を伴う結節影を認めた.気管支鏡検査にて肺小細胞癌局所再発と診断し,シスプラチンとイリノテカン併用化学療法を施行し部分奏効が得られた.限局型肺小細胞癌においては5年以上の無病長期生存者は10~25%とされ,その生存者はほぼ治癒と考えられている.本症例は二次癌との鑑別が難しいが,同一肺葉内の同一組織型であり局所再発と考えた.放射線同時併用化学療法および自己末梢血幹細胞移植併用大量化学療法にも耐性であったわずかな癌細胞が残存し,10年後に再発したと考えられた肺小細胞癌を報告する.
肺小細胞癌 大量化学療法 自己末梢血幹細胞移植 局所再発 晩期再発
Received 平成23年3月8日
日呼吸会誌, 49(9): 697-701, 2011