日本呼吸器学会誌：ベバシズマブ投与後に難治性気胸を呈した肺腺癌の1例

Vol.49 No.9 目次

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症例

ベバシズマブ投与後に難治性気胸を呈した肺腺癌の1例

田村　崇^1）田村　志宣^1）那須　英紀^1）藤本　特三^1）木下　貴裕^2）

〒646-8588　和歌山県田辺市新庄町46番地の70 ^1）社会保険紀南病院内科〒646-8558　和歌山県田辺市たきない町27番地の1 ^2）南和歌山医療センター胸部心臓血管外科

要旨

症例は70歳女性．発熱と呼吸苦を主訴に当院を受診し，胸部CT検査を行ったところ，左S6に50 mm×30 mm大の腫瘤陰影と両下肺野に蜂巣肺が認められた．エコー下細胞診の結果，肺腺癌と診断した．臨床病期はStage IIIA（T3N2M0）であり，初回治療としてカルボプラチンとパクリタキセルにベバシズマブを併用した化学療法を選択した．ベバシズマブ投与7日後，胸部単純X線写真で左気胸を認めた．左気胸に対し，胸腔ドレーンを留置し，胸膜癒着術を行ったが改善なく，左気胸改善まで3週間を要した．2コース目以降は，ベバシズマブを併用せずに治療を行ったが気胸の再発は認められなかった．本症例で発症した続発性気胸は，ベバシズマブ療法に伴う重篤な有害事象と考えられ，肺腺癌に対してベバシズマブを併用した化学療法を行う際には，続発性気胸に十分注意する必要があると考えられる．

キーワード

肺腺癌ベバシズマブ間質性肺炎気胸

Received 平成23年3月22日

日呼吸会誌, 49(9): 702-706, 2011

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