新たな肺年齢評価法の提示
〒116-0013 東京都荒川区西日暮里2-20-1 東京女子医科大学第1内科(呼吸器内科)
【背景と目的】COPDに対する啓発活動の一環として,また,呼吸機能の加齢現象を判り易く示す指標として肺年齢が日本呼吸器学会肺年齢普及推進事務局から提言された(肺年齢原法).この方法では一秒量(FEV1)の正常基準値を与える回帰式をもとにFEV1から肺年齢を逆算するが,FEV1の正常値は唯一ではなく有意な変動幅(95%信頼限界)が存在するため逆算された肺年齢には統計学的,生理学的な問題が存在する.本研究では肺年齢原法が有する問題点を軽減させた新たな肺年齢評価法を提示した(肺年齢新法).【成績と結論】肺年齢原法ではFEV1正常値の95%信頼限界を考慮していないため実測FEV1が95%信頼限界の上限を超えて高値を呈する人の肺年齢は著しく若く(時に,肺年齢計算値はゼロ以下),逆の場合は著しく老いて(時に,肺年齢計算値は100以上)評価される.一方,肺年齢新法はFEV1の95%信頼限界を考慮した推定法であるため肺年齢の評価にあって広範囲のFEV1に対して適用可能であった.
Received 平成23年3月2日
日呼吸会誌, 49(9): 713-716, 2011