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書誌情報

症例

免疫抑制剤中止直後にMPO-ANCAが陽性化し,その後に肺胞出血をきたしたMPO-ANCA陽性間質性肺炎の1例

関根 朗雅a,b 萩原 恵里a 奥寺 康司c 馬場 智尚a 小倉 高志a 

a神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器科
b国立病院機構茨城東病院呼吸器内科
c横浜市立大学大学院医学研究科病態病理学

要旨

症例は66歳男性で,2002年12月に咳嗽・呼吸困難を主訴に当院を受診した.胸部CTでは両肺末梢側優位にすりガラス影を認め,血液検査ではMPO-ANCA(ANCA)348 EU/Lと高値であった.胸腔鏡下肺生検で血管炎所見を認めず,尿所見は正常であり,ANCA陽性間質性肺炎と診断した.その後,ステロイド,シクロスポリン(cyclosporine:CsA)による治療を開始し,ANCA値は陰性化し,画像・呼吸機能検査上も改善した.しかし,2007年9月にCsAによる腎障害が出現し同薬剤を中止したところ,同10月にANCA値は陽性化し,無症状ながら緩徐に増加した.2008年1月には鼻出血,血痰,発熱を主訴に来院し,胸部CT画像では両肺にすりガラス影の増強を認めた.集学的治療も効果なく,剖検にて肺胞出血と壊死性血管炎を認め,顕微鏡的多発血管炎と判明した.ANCA陽性間質性肺炎において,治療変更後にANCA値が増加したときには,長期の寛解後かつ無症状であっても,治療強化を考慮することが大切である.

キーワード

MPO-ANCA 間質性肺炎 免疫抑制剤 急性増悪 顕微鏡的多発血管炎 

Received 25 Nov 2011 / Accepted 19 Mar 2012
連絡先:関根 朗雅
〒236-0051 神奈川県横浜市金沢区富岡東6-16-1
神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器科

日呼吸誌, 1(6): 514-519, 2012

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