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書誌情報

原著

後期高齢者気管支喘息における慢性閉塞性肺疾患合併症例の検討

多賀谷悦子 切士 紗織 玉置  淳 永井 厚志 

東京女子医科大学第1内科

要旨

臨床的に喘息と診断されている75歳以上の後期高齢者において,喫煙歴,重症度,HRCTを用いた気腫病変の評価,呼吸機能検査について検討した.気腫病変の合併率は,全体で56%,男性71%,女性28%で,男性に有意に高かった.8割は喫煙の既往があり,気腫病変合併例では重症持続型が最も多かった.%FEV1は気腫病変の存在を予測する指標にはならなかった.重症例では,気腫病変の有無による可逆性の相違は認められなかったが,肺拡散能は,中等症持続型,重症持続型の気腫合併例で有意に低下しており,慢性閉塞性肺疾患の合併を検索する指標と考えられた.治療として気腫合併例に抗コリン薬を併用した結果,1秒量の改善が認められた.以上の結果より,後期高齢者の喘息では,HRCTでの気腫化の評価および肺拡散能測定が有用と考えられ,気腫合併例では抗コリン薬の追加によりコントロールが改善する可能性が示唆された.

キーワード

高齢者喘息 慢性閉塞性肺疾患 オーバーラップ症候群 

Received 12 Oct 2011 / Accepted 24 Apr 2012
連絡先:多賀谷 悦子
〒162-8666 東京都新宿区河田町8-1
東京女子医科大学第1内科

日呼吸誌, 1(7): 541-547, 2012

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