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書誌情報

原著

慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)の認知度調査および普及向上の検討

宇野 友康a 佐藤 英夫b 

a国立大学法人福島大学保健管理センター
b立川綜合病院呼吸器内科

要旨

NICE studyで得られた慢性閉塞性肺疾患(COPD)の有病率から,40歳以上の日本人の約530万人がCOPDに罹患していると考えられ,2030年には世界の死因の第3位になると予測されている.一方で我が国のいわゆる三大生活習慣病と比し,COPDがいまだ広く認知されていない現状があると推測される.そこでCOPDの認知度や普及向上のために必要なことを,比較的農村地域の病院に来院した18歳以上をを対象に2010年9月に実施した335例のアンケート調査(自由参加型・選択および自己記入形式調査)から検討した.COPDを「知っている」との回答はわずかに9.3%と低く,認知度が低い理由として「自分に関係が薄い」が16.6%,「疾患概念が認識しにくい」が62.1%,「日本語ではないこと」が44.8%との回答(複数回答形式)であった.「覚えやすく,わかりやすい」病名についての質問では,COPDガイドライン3版で明記されたタバコ煙(喫煙)に関する見解を基に使用した「タバコ病」が最も多く,「慢性タバコ肺」・「肺生活習慣病」などが続いた.肺年齢についてもCOPDと同様に「知っている」との回答は5.3%と認知度が低かった.普及率向上についての回答は,テレビCMが最も多く,新聞雑誌・ポスター・たばこ増税と続き,講演会や市の広報などを希望する意見もみられた.今回の結果から,より身近な疾患として理解を浸透させるため,簡略和名の併用などが有用であると考えられた.また,都市部や農村部などの地域性も反映し,認知・普及率向上を目指した積極的な啓発活動の必要性が示唆された.

キーワード

慢性閉塞性肺疾患(COPD) 肺年齢 認知度 アンケート調査 予防 

Received 15 Nov 2012 / Accepted 10 Apr 2013
連絡先:宇野 友康
〒960-1296 福島市金谷川1番地
国立大学法人福島大学保健管理センター

日呼吸誌, 2(5): 536-543, 2013

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