一般社団法人日本呼吸器学会 公式サイト
ScholarOne Manuscripts
日本呼吸器学会英文誌 Respiratory Investigation
日本呼吸器学会誌 増刊号 学術講演会プログラム 抄録集 検索用
日本呼吸器学会誌 増刊号 学術講演会プログラム 抄録集 全文PDF

書誌情報

特集 変化する肺癌治療

Topics 3
近年の肺癌外科治療

池田 徳彦 茜部 久美 大森 智一 

東京医科大学外科学第1講座

要旨

近年の肺癌外科治療の課題は,1)早期癌に対する手術,2)IIIA期N2症例に対する手術適応である.早期癌に対しては胸腔鏡手術や縮小手術の頻度が高くなった.胸腔鏡下肺癌手術の有用性は標準開胸手術を対照とする無作為比較試験で確定したわけではないが,早期癌を中心としてすでに標準術式化している.また,腫瘍径20 mm以下の小型肺癌に対する積極的縮小手術の治療成績は葉切除に匹敵するとも考えられ,特にCTですりガラス優位の症例は区域切除で根治する可能性が高いと認識されている.一方,IIIA期(N2症例)はBulky N2からMinimal N2まで幅広い集団である.転移リンパ節が累々と腫大している場合は化学放射線治療が第一選択であるが,リンパ節転移が顕著でない場合は手術を適応することもある.欧米のIIIA期非小細胞肺癌を対象とした第III相試験では導入療法+手術群が放射線化学療法を上回る治療成績は見られなかったが,葉切除症例やdown stagingを認めた症例では予後良好の傾向があった.今後は手術が適する患者の選択や新規薬剤の使用などに関する新規の研究を要すると考えられる.

キーワード

肺癌 胸腔鏡手術 区域切除術 集学的治療 

連絡先:池田 徳彦
〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-7-1
東京医科大学外科学第1講座

日呼吸誌, 3(1): 23-27, 2014

Google Scholar著者名・キーワードは「Google Scholar™ 学術文献検索」の検索結果へリンクしています.