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日本呼吸器学会誌 増刊号 学術講演会プログラム 抄録集 検索用
日本呼吸器学会誌 増刊号 学術講演会プログラム 抄録集 全文PDF

書誌情報

症例

気管支喘息発作を契機に診断されたdiaphenylsulfone(Dapsone)誘発性メトヘモグロビン血症の1例

朝隈麻衣子a,d 横場 正典b,d 上遠野 健c,d 高倉  晃c,d 片桐 真人b,d 益田 典幸c,d 

a北里大学大学院医療系研究科
b同 医療衛生学部臨床生理学
c同 医学部呼吸器内科学
d北里大学病院呼吸器内科

要旨

症例は50歳の女性.19歳時に特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura:ITP)を発症.北里大学病院血液内科にてprednisolone(PSL)での治療を開始したが難治性であり,以後vincristine,γ-groblin製剤,danazol,cyclosporin,脾摘などでも治療.その後,ITPに対してPSLおよびdiaphenylsulfone(DDS)による治療に変更された.DDS投与開始約1ヶ月前から夜間の呼吸困難を呈していたが,DDS治療開始後約2ヶ月の間に労作時呼吸困難および夜間の起座呼吸を自覚するようになった.血液内科定期受診時に,両側全肺野に高調性連続性ラ音を聴取し,気管支喘息中発作の診断にて北里大学病院呼吸器内科に入院となった.入院後,PSL,aminophylline,salbutamol,酸素吸入にて治療を開始したが,その後も呼吸困難,チアノーゼが持続しSpO2の低下も改善しなかった.血小板数増加後に動脈血液ガス測定を施行したところ,3 L/min酸素吸入下でPaO2 110.5 Torr,SaO2 97.6%であり,SpO2 92%との間に乖離を認めた.この際の血中メトヘモグロビンは4.0%であり,メトヘモグロビン血症と診断した.DDSの内服を中止したところメトヘモグロビン値はすみやかに正常範囲内となり,SpO2とSaO2の乖離,自覚症状も改善した.DDSの副作用として薬剤性メトヘモグロビン血症が起こりうるとの認識が重要と考えられた.

キーワード

メトヘモグロビン血症 ジアフェニルスルホン ダプソン 特発性血小板減少性紫斑病 

Received 23 May 2013 / Accepted 22 Aug 2013
連絡先:朝隈 麻衣子
〒252-0303 神奈川県相模原市北里1-15-1
北里大学大学院医療系研究科

日呼吸誌, 3(1): 98-102, 2014

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