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日本呼吸器学会誌 増刊号 学術講演会プログラム 抄録集 検索用
日本呼吸器学会誌 増刊号 学術講演会プログラム 抄録集 全文PDF

書誌情報

症例

5年間生存し末期に急激な病勢の進行を認め多臓器転移をきたした胸膜中皮腫の1剖検例

太田真一郎a,b 原   悠a,c 新海 正晴a,c 渡邉 恵介a 稲山 嘉明d 金子  猛e 

a横浜市立大学附属市民総合医療センター呼吸器病センター内科
b自衛隊横須賀病院内科
c防衛医科大学校病院内科学講座(感染症・呼吸器)
d横浜市立大学附属市民総合医療センター病理診断科
e横浜市立大学大学院医学研究科呼吸病学

要旨

症例は52歳,男性.2006年4月より右胸痛が出現し精査目的で入院した.胸部CTにて右胸水貯留・胸膜肥厚を認め,開胸下胸膜生検で上皮型中皮腫と診断した.診断後,化学療法にて5年間病勢制御可能であったが,2011年6月に,急激な左胸水増加と脳転移を認めた.治療反応性乏しく,5ヶ月後に死亡し,剖検にて原発巣拡大と脳・腹膜・膵・肝・脾・骨への転移を認めた.脳転移巣および剖検時胸膜病変の組織所見は肉腫型主体の中皮腫であった.本例は,病勢の進行を認めた要因として発症時から肉腫成分がわずかに混在していた可能性や上皮間葉転換の可能性などが考えられ,胸膜中皮腫の進展を考えるうえで興味深い症例である.

キーワード

胸膜中皮腫 ペメトレキセド 長期生存例 多臓器転移 

Received 9 Sep 2013 / Accepted 22 Jul 2014
連絡先:原 悠
〒232-0024 神奈川県横浜市南区浦舟4-57
横浜市立大学附属市民総合医療センター呼吸器病センター内科

日呼吸誌, 3(6): 800-804, 2014

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