タイトル
第38巻第6号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

S状結腸癌多発肺転移巣と鑑別を要した胸膜直下肺内リンパ節の1例

小島 宏司, 長田 博昭, 横手 薫美夫, 島田 厚, 山手 昇, 高木 正之
聖マリアンナ医科大学第3外科, 同 第1病理

症例は70歳の女性で,結腸癌手術の術前に胸部CTにて多発結節影を指摘された.結節影は左右計7個あり,結腸癌肺転移と考えられた.原発巣手術後に当科に転じた.両側開胸下に観察すると腫瘤はいずれも径1 cm以下で,右B5周囲のリンパ節であった1個を除いて全て胸膜直下に存在し,その表面に炭粉沈着を示していた.病理学的には6個が胸膜下肺内リンパ節で他の1個は肺門リンパ節であった.悪性所見は全く認められなかった.肺内リンパ節が胸膜直下に発現することは希で,画像上癌の肺転移との鑑別は困難である.本症例のごとく画像上指摘される多発性の全病巣が反応性肺内リンパ節であるような症例は報告されておらず転移性腫瘍の治療方針上参考とすべき知見と考え報告した.炭粉沈着が特徴であるから本症の検索には胸腔鏡下の検索が好適であろう.
索引用語:Intrapulmonary lymph nodes, Coin lesion, Lung metastases

受付日:1997年11月18日
受理日:1998年8月7日

肺癌 38 (6):709─713,1998

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