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第39巻第1号目次 | Japanese/English |
─ 症例 ─
術後6年を経過し生存中の進行胸腺癌の1例
天谷 奨, 斉藤 裕, 増田 信二*厚生連高岡病院胸部外科, *同 病理科
症例は64歳の女性で,頸部腫脹,咽頭痛,咳を訴え,当院を受診した.胸部単純X線写真,胸部CT検査にて,気管の右側偏位と左無名静脈の完全閉塞を伴う上縦隔の長径8 cm大の腫瘤を認めた.浸潤性の胸腺腫と診断し,拡大胸腺摘出,左上葉部分及び左無名静脈の合併切除を行い,左無名静脈右心耳間のバイパスをE-PTFE graftで作成した.手術時,左肺上下葉内に径4 mm大の小結節を4個触知し,切除した.組織学的には,肺転移を有する胸腺原発の腺癌(正岡の病期分類のIV b期)と診断された.術後にCDDP,VP-16による化学療法を2コース行った.現在術後6年経過し,非担癌状態で生存中である.胸腺癌は進行例であっても長期生存例の報告が肺癌に比べ多くみられ,可能であれば積極的に切除した方がよいと考えられた.
索引用語:Thymic carcinoma, Adenocarcinoma
受付日:1998年8月17日
受理日:1998年12月14日
肺癌 39 (1):69─73,1999