タイトル
第40巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

微小肺腺癌の診断と進展におけるHigh-resolution CT画像と肺血管の関連性

清水 邦彦1)3), 山田 耕三1), 尾下 文浩1), 野村 郁男1), 野田 和正1), 伊藤 宏之1), 中山 治彦1), 密田 亜希2), 亀田 陽一2)
1)神奈川県立がんセンター呼吸器科, 2)同 病理, 3)済生会神奈川県病院呼吸器内科

CT画像上の肺血管の“巻き込み”の画像的な基準を確立するために,CT画像での肺血管の『枝分かれ関与』(以下『枝』)と『貫通関与』(以下『貫』)を“巻き込み”所見の基準と仮定し,腫瘍径15 mm以下の微小肺腺癌(96例)と肺血管の関係をretrospectiveに検討した.『枝』は肺動静脈の1本の枝から枝分かれして病変内に複数関与するものとした.また,『枝』の出現が,病巣の収束を反映する所見であるのを確認するため,病巣内でのすりガラス様陰影(GGA)が占める割合別にI群:100%,II群:50~100%,III群:50%未満に分類して,『枝』との関係を検討した.腫瘍径別の『枝』の頻度は10 mm以下:44%,11~15 mm:50%,『貫』では10 mm以下:33%,11~15 mm:27%であり,病巣の大きさに関わらず『枝』と『貫』は肺腺癌に意義のある所見であった.一方,GGAの割合と『枝』の関係は,I群では38%,II群+III群では52%であり,GGAの割合の減少に伴い『枝』の出現頻度が増加し,病巣の収束に伴う所見であることが示唆された.
索引用語:Small adenocarcinoma of the lung, High-resolution CT, CT diagnosis, Involved pulmonary vessels

受付日:2000年6月13日
受理日:2000年10月4日

肺癌 40 (7):743─749,2000

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